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(1)保育所保育指針とは何か 保育指針は、保育所における保育の内容やこれに関連する運営等について定めたものです。 保育所における保育は、本来的には、各保育所における保育の理念や目標に基づき、子どもや保護者の状況や地域の実情等を踏まえて行われるものであり、その内容については、各保育所の独自性や創意工夫が第一義的に尊重されるべきです。その一方で、すべての子どもの最善の利益のためには、子どもの健康や安全の確保、発達の保障等の観点から、各保育所が行うべき保育の内容等に関する全国共通の枠組みが必要です。このため、保育指針において、各保育所が拠るべき保育の基本的事項を定め、保育所において一定の保育の水準を保つことにしています。 全国の保育所においては、この保育指針に基づき、子どもの健康及び安全を確保しつつ、子どもの一日の生活や発達過程を見通し、保育の内容を組織的・計画的に構成し、保育を実施することになります。この意味で、保育所保育指針は、保育環境の基準(児童福祉施設最低基準(昭和23 年厚生省令第63 号)における施設設備や職員配置等)や保育に従事する者の基準(保育士資格)と相まって、保育所保育の質を担保する仕組みであるといえます。 また、保育指針は、保育所保育にとどまらず、他の保育施設や家庭的保育などにおいても、ガイドラインとして活用されることが期待されます。 (2)改定の背景 旧保育指針の施行から8年が経過し、この間、子どもや子育て家庭を取り巻く状況は、保育関係者の努力により改善されてきた面もありますが、依然として課題や問題点も多くあります。家庭や地域において人や自然と関わる経験が少なくなったり、子どもにふさわしい生活時間や生活リズムがつくれないことなど子どもの生活が変化する一方で、不安や悩みを抱える保護者が増加し、養育力の低下や児童虐待の増加などが指摘されています。 また、①地域における子育て支援の活動が活発になる中で、保育所はもとより多様な支援の担い手など地域の保育・子育て支援の資源が蓄積されつつあること、②延長保育や一時保育などの保護者の多様なニーズに応じた保育サービスの普及が進むとともに、保育所職員と保護者との適切な関わりが求められていること、③平成18 年に保育所と幼稚園の機能を一体化した「認定こども園」制度が創設されたこと、④同じく平成18 年に改正された教育基本法において幼児期の教育の振興が盛り込まれ、就学前の教育の充実が課題になっていること、⑤仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現が求められる中で、働きながら子育てをしている家庭を支える地域の担い手として、保育所に対する期待が高まっていること、など、保育所をめぐる環境も様々に変化しています。 乳幼児期は、子どもが生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期であり、少子化が進み、家庭や地域の子育て力の低下が指摘される中で、保育所における質の高い養護と教育の機能が強く求められています。また、子どもの育ちや保護者をめぐる環境が変化し、保育所への期待が高まり、質の高い保育が求められる中で、保育所の役割・機能を再確認し、保育の内容の改善充実を図ることが重要になってきています。 今回、こうした観点から、保育指針の内容や構成を見直し、更なる保育の質の向上をめざすこととなりました。
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第4章「保育の計画及び評価」において、これまでの「保育計画」を改め「保育課程」として規定することとしています。「保育課程」の編成により、保育所全体で組織的及び計画的に保育に取り組むことや、一貫性、連続性のある保育実践が期待されます。また、各保育所では保育課程を踏まえ、それぞれの指導計画や食育の計画などを作成することや、指導計画の作成上の留意事項を明確化しています。その中で、障害のある子どもの保育について、関係機関と共に支援のための計画を個別に作成することを規定しています。 保育所においては、保育課程、指導計画に基づく保育士等による保育実践の振り返りを重視するとともに、保育の内容等の自己評価及びその公表を努力義務としています。保育所での自己評価等を踏まえ、職員が保育所の課題について共通理解を深め、体系的・計画的な研修や職員の自己研鑽等を通じて、職員の資質向上及び職員全体の専門性の向上を図ることを求めています。 また、第7章においては、保育の資質向上のための施設長の責務についても明確化しています。 以上が主な改定内容ですが、このほかにも今日的視点を踏まえて、様々な点が強調されています。 例えば、保育所の役割や保育士の専門性について明確にしながら、子どもの健やかな成長のためには家庭や地域社会との連携、協力が欠かせないということ、子どもの人権擁護、虐待防止の観点からも保育所の果たす役割が大きいこと、子どもの自発的、主体的な活動を重視するとともに、子どもの生 活の連続性、発達の連続性、遊びや学びの連続性と関連性を大切にすることなどが規定されており、保育所保育の特性を生かした質の高い保育実践が望まれます。 また、保育指針の根拠法令、関連法令や幼稚園教育要領などとの整合性がこれまで以上に図られていることも、今回の改定の特徴です。それらを踏まえ、保育所が社会的責任を果たしていくとともに、保育の内容の充実や子どもの保育、教育を担う保育士の専門性の向上が求められています。 全国の保育所が、これまでの保育実践の蓄積や受け継がれてきた保育の精神、児童福祉の理念を踏まえ、新保育所保育指針を核に、さらに豊かに保育を展開し、子どもの幸せに寄与していくことが期待されます。
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(2)保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。 保育所の役割として2番目に挙げられているのは、保育所の特性ともいうべき事柄であり、ここには保育所保育の重要なポイントが凝縮されています。 ①専門性を有する職員による保育 保育所には、保育の専門性を有する保育士をはじめ、看護師、栄養士、調理員など、専門性を有した職員がそれぞれの専門性を発揮して保育に当たっています。保育所職員は、それぞれの職種における専門性を認識するとともに、保育所という実践の場において、子どもや保護者等との関わりの中で常に自己を省察していくことが重要です。また、組織の一員として共通理解を図りながら取り組むことも必要とされます。 なお、保育指針やこの解説書において保育に携わるすべての保育所職員(施設長・保育士・調理員・栄養士・看護師等)を「保育士等」としています。 ②家庭との連携 保育は保護者と共に子どもを育てる営みであり、子どもの24 時間の生活を視野に入れ、保護者の気持ちに寄り添いながら家庭との連携を密にして行わなければならないとしています。保育所での保育が、より積極的に乳幼児期の子どもの育ちを支え、保護者の養育力の向上につながるよう保育所の特性を生かした支援が求められています。 ③発達過程 保育指針では「発達過程」という言葉が度々登場します。発達過程とは、子どもの発達を年齢で画一的にとらえるのではなく、発達のプロセスを大切にしようとする考え方です。 保育においては、子どもの育つ道筋やその特徴を踏まえ、発達の個人差に留意するとともに、個別に丁寧に対応していくことが重要です。また、子どもの今、この時の現実の姿を受け止めるとともに、子どもが周囲の様々な人との相互的関わりを通して育つことに留意することが大切です。さらに、一人一人の心身の状態や家庭生活の状況などを踏まえて保育することが明記されています。 ④環境を通して行う保育 環境を通して、養護と教育が一体的に展開されるところに保育所保育の特性があり、その際、子ども一人一人の状況や発達過程を踏まえ、環境を整え、計画的に保育環境を構成していくことが重要だとしています。保育の環境の重要性やその意義については、3の「保育の原理」において詳しく示されています。 ⑤養護と教育の一体性 養護と教育が一体的に展開され、保育の内容が豊かに繰り広げられていくためには、子どもの傍らに在る保育士等が子どもの心をしっかりと受け止め、相互的なやり取りを重ねながら、子どもの育ちを見通し援助していくことが大切です。その際、身体の発育面とともに、心の育ちにも十分に目を向け、子どもの気持ちに応え、手を携え、言葉をかけ、共感しながら、一人一人の存在を認めていくことが大切です。このような保育士等の関わりにより、子どもはありのままの自分を受け止めてもらえることの心地よさを味わい、保育士等への信頼を拠りどころとして、心の土台となる個性豊かな自我を形成していきます。 養護と教育が一体的に展開されるという意味は、保育士等が子どもを一個の主体として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助することです。子どもは自分の存在を受け止めてもらえる保育士等や友達との安定した関係の中で、自ら環境に関わり、興味や関心を広げ、様々な活動や遊びを通して新たな能力を獲得していくのです。 このように、保育士等は、養護と教育が切り離せるものではないことを踏まえた上で、自らの保育をより的確に把握する視点を持つことが必要です。このため、第3章「保育の内容」において、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」がそれぞれに詳しく示されています。保育士等がその専門性を発揮し、自らの保育を振り返り評価する上でも、また、新たな計画を立てる上でも養護と教育の視点を持つことはたいへん重要です。
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(1)保育所保育の目的 (1)保育所は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条の規定に基づき、保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。 ①子どもの最善の利益 まず、初めに述べられていることは、児童福祉法に基づく児童福祉施設としての保育所の役割であり、保育所は、「入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進する」ということです。これは、保育指針の根幹を成す理念であり、子どもの最善の利益を守り、子どもたちを心身共に健やかに育てる責任が保育所にあることを明らかにしています。 「子どもの最善の利益」については、1989 年に国際連合が採択し、1994年に日本政府が批准した児童の権利に関する条約(通称「子どもの権利条約」)の第3章第1項に定められています。子どもの権利を象徴する言葉として国際社会等でも広く浸透しており、保護者を含む大人の利益が優先されることへの牽制や、子どもの人権を尊重することの重要性を表しています。なお、「子どもの最善の利益」については第6章にも示されています。 ②最もふさわしい生活の場 今回の保育指針では特に、保育所が入所する子どもにとって「最もふさわしい生活の場でなければならない」とされました。これは、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」(児童福祉法第1条第2項)とする児童福祉の理念にも通底するものです。 これまで保育所は、長時間にわたる保育の中で、子どもの養護的側面を大事にし、一人一人の子どもにきめ細やかに対応してきました。しかし、子育てを取り巻く様々な環境の変化により、乳幼児期にふさわしい生活を送ることが難しくなってきていることなどを踏まえ、保育所の生活を子どもの福祉を積極的に増進する観点から捉え直すことが必要となっています。子どもが様々な人と出会い、関わり、心を通わせながら成長していくために、乳幼児期にふさわしい生活の場を豊かにつくりあげていくことが重要であり、そうした役割や機能が今日、保育所にはますます求められているといえるでしょう。 (2)保育所の特性 (2)保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。 保育所の役割として2番目に挙げられているのは、保育所の特性ともいうべき事柄であり、ここには保育所保育の重要なポイントが凝縮されています。 ①専門性を有する職員による保育 保育所には、保育の専門性を有する保育士をはじめ、看護師、栄養士、調理員など、専門性を有した職員がそれぞれの専門性を発揮して保育に当たっています。保育所職員は、それぞれの職種における専門性を認識するとともに、保育所という実践の場において、子どもや保護者等との関わりの中で常に自己を省察していくことが重要です。また、組織の一員として共通理解を図りながら取り組むことも必要とされます。 なお、保育指針やこの解説書において保育に携わるすべての保育所職員(施設長・保育士・調理員・栄養士・看護師等)を「保育士等」としています。 ②家庭との連携 保育は保護者と共に子どもを育てる営みであり、子どもの24 時間の生活を視野に入れ、保護者の気持ちに寄り添いながら家庭との連携を密にして行わなければならないとしています。保育所での保育が、より積極的に乳幼児期の子どもの育ちを支え、保護者の養育力の向上につながるよう保育所の特性を生かした支援が求められています。 ③発達過程 保育指針では「発達過程」という言葉が度々登場します。発達過程とは、子どもの発達を年齢で画一的にとらえるのではなく、発達のプロセスを大切にしようとする考え方です。 保育においては、子どもの育つ道筋やその特徴を踏まえ、発達の個人差に留意するとともに、個別に丁寧に対応していくことが重要です。また、子どもの今、この時の現実の姿を受け止めるとともに、子どもが周囲の様々な人との相互的関わりを通して育つことに留意することが大切です。さらに、一人一人の心身の状態や家庭生活の状況などを踏まえて保育することが明記されています。 ④環境を通して行う保育 環境を通して、養護と教育が一体的に展開されるところに保育所保育の特性があり、その際、子ども一人一人の状況や発達過程を踏まえ、環境を整え、計画的に保育環境を構成していくことが重要だとしています。保育の環境の重要性やその意義については、3の「保育の原理」において詳しく示されています。 ⑤養護と教育の一体性 養護と教育が一体的に展開され、保育の内容が豊かに繰り広げられていくためには、子どもの傍らに在る保育士等が子どもの心をしっかりと受け止め、相互的なやり取りを重ねながら、子どもの育ちを見通し援助していくことが大切です。その際、身体の発育面とともに、心の育ちにも十分に目を向け、子どもの気持ちに応え、手を携え、言葉をかけ、共感しながら、一人一人の存在を認めていくことが大切です。このような保育士等の関わりにより、子どもはありのままの自分を受け止めてもらえることの心地よさを味わい、保育士等への信頼を拠りどころとして、心の土台となる個性豊かな自我を形成していきます。 養護と教育が一体的に展開されるという意味は、保育士等が子どもを一個の主体として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助することです。子どもは自分の存在を受け止めてもらえる保育士等や友達との安定した関係の中で、自ら環境に関わり、興味や関心を広げ、様々な活動や遊びを通して新たな能力を獲得していくのです。 このように、保育士等は、養護と教育が切り離せるものではないことを踏まえた上で、自らの保育をより的確に把握する視点を持つことが必要です。このため、第3章「保育の内容」において、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」がそれぞれに詳しく示されています。保育士等がその専門性を発揮し、自らの保育を振り返り評価する上でも、また、新たな計画を立てる上でも養護と教育の視点を持つことはたいへん重要です。 (3)子育て支援 (3)保育所は、入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものである。保育所の役割の3番目には「子育て支援」が位置付けられています。ここには保育所に入所する子どもの保護者への支援とともに、地域の子育て家庭に対する支援の役割が明記されています。入所児の保護者への支援は、日々の保育に深く関連して行われるものです。 また、地域の子育て家庭に対する支援については、児童福祉法第48 条の3において保育所の努力義務として規定されており、地域の様々な人や場や機関などと連携を図りながら、地域に開かれた保育所として、地域の子育て力の向上に貢献していくことが、保育所の役割として示されています。現代では身近に話し相手がいなかったり、安全な遊び場がなかったりなど、子育て家庭が孤立しているといわれる中で、安心・安全で、親子を温かく受け入れてくれる施設として、保育所の役割はますます期待されています。さらにまた、保育所の子育て支援は、児童虐待防止の観点からも、重要なものと位置付けられているといえるでしょう。 (4)保育士の専門性 (4)保育所における保育士は、児童福祉法第18条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものである。4番目の項目では平成15 年に改正された児童福祉法第18 条の4を踏まえ、保育士の専門性に言及しています。 保育士の専門性としては、①子どもの発達に関する専門的知識を基に子どもの育ちを見通し、その成長・発達を援助する技術、②子どもの発達過程や意欲を踏まえ、子ども自らが生活していく力を細やかに助ける生活援助の知識・技術、③保育所内外の空間や物的環境、様々な遊具や素材、自然環境や人的環境を生かし、保育の環境を構成していく技術、④子どもの経験や興味・関心を踏まえ、様々な遊びを豊かに展開していくための知識・技術、⑤子ども同士の関わりや子どもと保護者の関わりなどを見守り、その気持ちに寄り添いながら適宜必要な援助をしていく関係構築の知識・技術、⑥保護者等への相談・助言に関する知識・技術などが考えられます。 こうした「専門的な知識・技術」をもって子どもの保育と保護者への支援を適切に行うことは極めて重要ですが、そこに知識や技術、そして、倫理観に裏付けられた「判断」が強く求められます。日々の保育における子どもや保護者との関わりの中で、常に自己を省察し、状況に応じた判断をしていくことは、対人援助職である保育士の専門性として欠かせないものでしょう。
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改定の背景を踏まえ、保育所の役割を保育指針に位置づけました。すなわち、保育所は、養護と教育を一体的に行うことを特性とし、環境を通して子どもの保育を総合的に実施する役割を担うとともに、保護者に対する支援(入所する児童の保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援)を行うことを明記しています。その上で、保育所における保育の中核的な担い手である保育士の業務とともに、保育所の社会的責任(子どもの人権の尊重、説明責任の発揮、個人情報保護など)について規定しています。
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第1章(総則)では、保育指針を貫く基本的考え方を示しています。すなわち、第1章において、保育指針の全体像が描かれ、これに基づき第2章以下が展開されていきます。第2章から第7章までの内容は、すべて第1章に拠るものであり、総則にある「保育所の役割」、「保育の原理」、及び「保育所の社会的 責任」を具体化したものが第2章以下に示され、その連続性、整合性が図られています。そして、各章が関連し合い、全体として、一貫性を持ち、保育の質の向上に資するという構造を成しています。 1. 趣旨 2. 保育所の役割 (1) 保育所保育の目的 (2) 保育所の特性 (3) 子育て支援 (4) 保育士の専門性 3. 保育の原理 (1) 保育の目標 (2) 保育の方法 (3) 保育の環境 4. 保育所の社会的責任 (1) 子どもの人権の尊重 (2) 地域交流と説明責任 (3) 個人情報の保護と苦情解決
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(1)この指針は、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第35条の規定に基づき、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものである。 (2)各保育所は、この指針において規定される保育の内容に係る基本原則に関する事項等を踏まえ、各保育所の実情に応じて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならない。 まず、保育指針の法令上の根拠及び規定する範囲と保育指針の目的を明らかにしています。 保育指針は児童福祉施設最低基準第35 条に基づくものであり、今回保育指針の改定に伴って改正された最低基準第35 条では「保育所における保育は、養護と教育が一体的に行われるものとして、その内容については厚生労働大臣がこれを定める」とされ、これに基づき保育指針が、厚生労働大臣告示として定め られています。 また、保育指針の規定する範囲として、「保育所における保育の内容に関する事項」とともに「関連する運営に関する事項」を規定することを明らかにしています。これは、保育所においては、保育実践を組織的に評価すること、子どもの健康や安全の維持向上を図るための体制をつくること、子育て支援に積極的に取り組むこと、保育に携わる者の資質向上を図ることなど、運営面に関わる取組が保育の内容とは切り離せない関係にあることから、こうした構造を明らかにしつつ全体として規定することとしたものです。 さらに、保育指針の目的として、各保育所は保育指針を踏まえ、創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならないことを明らかにしています。序章でも述べているように、今回の改定により、規範性を有する基準となるため、保育指針で規定する事項を基本的なものに限定し、その内容の大綱化を図っています。したがって、各保育所ではこの指針に規定されている基本原則を守り、各保育所の実情を踏まえ、創意工夫を図り保育することが求められます。 保育指針の目指すところは、児童福祉の理念に基づいた保育の質の向上であり、この指針はそのための保育の内容の基本や、保育の質を確保し向上を図るための内容や仕組みを示しているといえます。保育所が社会の中でしっかりとその役割を果たし、保育の専門機関としてその組織性、専門性を高めていくことが強く求められているのです。
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今回の改定では、次の4つの点を基本的な特徴としています。 第1は、保育指針を大臣告示として定め、規範性を有する基準としての性格を明確にしています。ここでいう規範性とは、各保育所は保育指針に規定されていることを踏まえて保育を実施しなければならないということであり、保育指針に規定されている事項の具体の適用については、その内容により異なります。すなわち、①遵守しなければならないもの、②努力義務が課されるもの、③基本原則にとどめ、各保育所の創意や裁量を許容するもの、又は各保育所での取組が奨励されることや保育の実施上の配慮にとどまるものなどを区別して規定しています。 第2は、各保育所の質の向上のための創意工夫を促すことを目指し、基準として規定する事項を基本的なものに限定し、その内容の大綱化を図り全7章にまとめられていることです。基準としての性格を明確化する一方で、保育の実施は、保育所の自主性、創意工夫が尊重されるという基本的原則をより明確にし、例えば、発達過程区分ごとの保育の内容を大括りするなど、構成や記述内容を精選しています。その上で、内容の解説や補足説明、保育を行う上での留意点、各保育所における取組の参考になる関連事項の伝達等を行うために、この解説書が作成されています。 第3は、保育の内容に関する事項と保育の内容を支える運営に関する事項とをできるだけ整理して示すことにより、保育所保育の取組の構造を明確化し、保育の内容や方法の改善、保育所の機能の強化など保育所の質の向上を促すこ とを目指しています。 第4は、保育指針の明解性を高めるように内容、記述の見直しをしています。すなわち、保育現場での保育実践に日常的に活用されるとともに、子どもの育ちに関する保護者の理解に役立つ資料としても活用されるように、より分かりやすい記述や表記となるように工夫しています。
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この章では、第1章(総則)及び第2章(子どもの発達)に示されたことを踏まえ、保育所の「保育の内容」について述べます。 保育所において、子どもが自己を十分に発揮し、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられるよう、保育の内容を充実させていくことは極めて重要であり、それは保育所の第一義的な役割と責任です。特に保育の専門性を有する保育士は、子どもと共に保育環境を構成しながら、保育所の生活全体を通して保育の目標が達成されるよう努めなければなりません。そのためには、第2章で示された子どもの発達と、この章で示す保育の内容を照らし合わせながら、具体的な保育の計画を作成し、見通しを持って保育することが必要です。 今回の改定により、保育の内容は一つの章にまとめられ、保育士等が適切に行う事項及び保育士等が援助して子どもが乳幼児期に育ち経験することが望まれる事項として、養護と教育に関わるねらい及び内容がそれぞれに示されました。ここにある「ねらい」23 項目と「内容」65 項目を基本に、第4 章(保育の計画及び評価)に示された事項を踏まえ、各保育所で適切な保育の内容を構成していくことが求められます。 例えば「言葉」の領域の「内容」に「言葉で表現する」とありますが、0歳では、保育士等に喃語を受け止めてもらいながら発声すること、1歳では片言や簡単な言葉の繰り返しを楽しむことなどが考えられます。示されている「内容」の趣旨を踏まえ、目の前の子どもの育ちゆく姿を見通し、0歳から6歳までの発達過程や発達の連続性を考慮し、各保育所の保育理念や保育方針、地域性などを反映させながら保育の内容を創り出していくことが望まれます。 実際にここに示されたねらい及び内容を8つの発達過程区分に沿って作成していくと、実に多くのねらいと内容が編み出されます。保育指針に示された内容の趣旨を踏まえ、各保育所でねらいと内容をバランス良く構成していきながら、保育所の独自性や創意工夫が十分に促され、子どもの生活と遊びが豊かに展開されるようにしていくことが求められます。大綱化により基本原則を押さえながら創意工夫を図るという意味はここにあります。 保育の内容は「ねらい」及び「内容」で構成される。「ねらい」は、第1章(総則)に示された保育の目標をより具体化したものであり、子どもが保育所において、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、保育士等が行わなければならない事項及び子どもが身に付けることが望まれる心情、意欲、態度などの事項を示したものである。また、「内容」は、「ねらい」を達成するために、子どもの生活やその状況に応じて保育士等が適切に行う事項と、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を示したものである。 保育士等が、「ねらい」及び「内容」を具体的に把握するための視点として、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」との両面から示しているが、実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意することが必要である。 ここにいう「養護」とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりである。また、「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助であり、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」及び「表現」の5領域から構成される。この5領域並びに「生命の保持」及び「情緒の安定」に関わる保育の内容は、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されるものである。 この章の前文では、保育の内容を構成する「ねらい」と「内容」について述べるとともに、ねらいと内容を具体的に把握するための視点として、「養護」と「教育」の両面があることを示しています。そして、保育指針におけるそれぞれの定義を明らかにしつつ、実際の保育においては、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されると述べています。 保育所における養護的側面が重要であることは、解説書の第1章でも述べていますが、保育所が乳幼児にとって、安心して過ごせる生活の場となるためには保育士等の適切な援助と関わりが必要です。また、子どもと生活を共にしながら子どものあるがままを受け止め、その心身の状態に応じたきめ細やかな援助や関わりをしていくことは保育の基本です。子どもが、一個の主体として大事にされ、愛おしい存在として認められ、その命を守られ、情緒の安定を図りながら、「現在を最も良く生きる」ことは、保育の土台を成し、子どもの心と体を育てることに直結します。 保育士等が子どもの欲求を感知し、手を携えて丁寧に対応し、時には励まし、子どもと向き合うことにより、子どもは安心感や信頼感を得ていきます。そして、保育士等との信頼関係を基盤に身近な環境への興味や関心を高め、その活動を広げていきます。また、保育士等の養護的な関わりやその姿を通して、望ましい生活の仕方や習慣・態度を徐々に体得していきます。 一方、保育所における教育的側面を保育指針では、「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」としています。このことは、子どもが保育士等の援助により環境との相互作用を通して、生きる力の基礎となる心情、意欲、態度を身に付けていくことであり、「望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」ため、保育士等が子どもの将来を見据え、願いを込めて自らの経験を受け渡していく営みであるともいえます。社会に共通する慣習や知識や技能、さらには価値、態度、心持ちといったもの、そうした文化の継承が子どもと大人の関わりの中でなされていきます。 乳幼児期の教育を考える時、こうした視点を持ちながら、保育士等が一方的に働きかけるのではなく、子どもの自発的な活動としての遊びなどを通して様々な学びが積み重ねられることが大切です。それは、子ども一人一人の存在を受け止め、その育ち行く姿を見守り、援助することでもあります。保育士等の温かな視線や子どもへの信頼が子どもの意欲や主体性を育んでいきます。 このように、養護的側面と教育的側面は切り離せるものではなく、養護が基礎となって教育が展開されます。また、養護に関わる保育の内容の中に教育に関わる保育の内容があり、教育に関わる保育の内容の中に養護に関わる保育の内容があるともいえるでしょう。さらに、養護に関わるねらい及び内容の「生命の保持」と「情緒の安定」、教育に関わるねらい及び内容の5領域が、それぞれに関連を持ち、折り重なりながら日々の保育が一体的に展開されていきます。 こうしたことを踏まえ、子どもの発達の様々な側面を捉え、自らの計画とそれに基づく保育を振り返り評価していく上で、それぞれのねらい及び内容を作成していくことは保育の質と専門性の向上につながると考えられます。
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保育所は、第1 章( 総則)に示された保育の目標を達成するために、保育の基本となる「保育課程」を編成するとともに、これを具体化した「指導計画」を作成しなければならない。 保育課程及び指導計画( 以下「保育の計画」という。) は、すべての子どもが、入所している間、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、柔軟で発展的なものとし、また、一貫性のあるものとなるよう配慮することが重要である。また、保育所は、保育の計画に基づいて保育し、保育の内容の評価及びこれに基づく改善に努め、保育の質の向上を図るとともに、その社会的責任を果たさなければならない。 保育所は保育の目標を達成するために、第2 章( 子どもの発達)、第3 章( 保育の内容)に示された子どもの発達の基本的な考え方や保育の内容等の理解に基づき、計画性のある保育を実践することが必要 です。そして、計画、評価、改善という一連の保育の過程を通して保育が行われることにより、保育の質の向上が図られるようにすることが重要です。 【子どもの主体性の尊重と計画性のある保育】 保育所における保育の基本は、子どもの主体性を尊重し、子ども自らが環境に関わり、環境との相互作用を通して多様な体験をすることで、子どもが心身共に健やかに育つことです。その際、保育士等の役割として大切なことは、子どもが発達に必要な経験を積み重ねていくことができる環境を計画的に構成し、子どもの心身の状況により適切な援助をすることです。 乳幼児期の発達特性と一人一人の子どもの実態を押さえ、計画を作成し、見通しを持って保育することにより、保育所が子どもにとって、安心できる心地よい生活の場となり、第1 章総則に示される「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」ことを可能にするのです。 保育所で、子どもの主体性を尊重することは、子どものやりたいこと、やろうとしていることを好き放題、勝手気ままにさせることではありません。子どもの生きる力、伸びようとする力が発揮され、心身共に健やかに育つためには、一人一人の育ちを見通し、発達過程を押さえて保育を組み立てていくこと、すなわち計画性のある保育が必要です。 計画性のある保育とは、一貫性と柔軟性を尊重した保育です。ここでいう一貫性とは0 歳から就学前までの育ちを見通して保育所での日々の生活をデザインすることを意味します。また柔軟性とは、計画通りに「させる」「やらせる」保育ではなく、その時々の子どもの状況に応じた応答的な環境の構成や援助を行うことです。 子どもの状況を理解することなく一貫性や計画性のない保育が行われると、子どもの生命の保持や情緒の安定という保育の基本さえも確保されないことになります。 保育は、子どもと保育士等との相互の多様な関わりが継続していく過程です。したがって、保育の計画は、発達や生活の連続性に配慮したものであることが重要です。 各保育所は、保育目標を明確にし、その目標を達成するために、保育の方向性を予測し、子どもの実態に応じて計画を作成します。 また、実際の保育の中では発展的に環境を再構成するなど保育士等の適切な判断のもとに柔軟に保育が展開されることが求められます。 【「保育計画」から「保育課程」へ】 第1 章( 総則) に示されているように、子どもをめぐる社会の状況が変化する中で、保育所が担う社会的役割はますます大きなものとなっています。子どもの最善の利益を保障しその責任を果たしていくためには、今まで以上に保育の質の向上が求められます。何よりも大切なのは、一人一人の職員の人間性や専門性を高めることと保育所全体が組織として計画的な保育実践とその評価、改善という循環的な営みによって保育の質の向上を図ることです。そのため、保育の実践において組織性及び計画性をより一層高め、保育所保育の全体的な構造を明確にすることが必要となります。 保育所では、子どもの家庭環境や生育歴、また保育時間や保育期間も一人一人異なります。保育に当たる職員も、保育士はじめ様々な職種、勤務体制で構成されています。こうした状況を踏まえ、子どもの発育・発達を一貫性を持って見通し、発達過程に応じた保育を体系的に構成し、保育に取り組むことが重要です。 こうしたことを踏まえ、今般の改定では、これまで「保育計画」としていた保育の全体計画を「保育課程」と改めることとしました。そして、保育課程を他の計画の上位に位置付け、全職員の共通認識の下、計画性を持って保育を展開し、保育の質の向上を目指すことが重要とされました。 保育所保育の根幹となる「保育課程」という新たな、そして、包括的な捉え方は、保育所保育の全体像を描き出したものといえます。すなわち、生活する場や時間、期間がどのような状況であっても、乳幼児期に共通する発育・発達の過程を基盤に、家庭や地域等、多様な側面に目を向け、入所しているすべての児童の生活の場をデザインし、保育を展開していくということを重要視したのです。